「ととのう」とは何か?|サウナのメリットやデメリットなど基礎知識を解説!

サウナは、ただ熱いだけのものだと思っていませんか。

サウナには、さまざまな効果や魅力があります。

特に仕事でストレスや疲労感を感じている方や、新しい趣味を作りたい方にはおすすめです。


この記事では、そもそもサウナとはどういったものかを歴史・メリットデメリットなどの観点から解説します。

また、サウナの専門用語「ととのう」のメカニズムもわかりやすく紹介しています。


この記事を読めば、サウナ愛好家へのはじめの一歩を踏み出せます。

サウナの概念と日本で流行ったきっかけ

サ道 2023.冬 ポスター
引用:映画.comより

サウナとは、高温の部屋で体を温めることを目的とした施設です。

サウナ室に使っている素材や温度は、以下の通りです。

素材木材を中心としたさまざまな耐熱素材を使用しているケースが多い
温度80°C〜100°Cがスタンダード
効果身体的な健康だけでなくメンタル改善効果も期待できる

日本で始めてサウナが話題になったのは、1964年の東京オリンピックのときです。

第一次サウナブーム

サウナの本場フィンランドの選手が、選手村にサウナを持ち込んだことが話題になりました。

第二次サウナブーム

その後の1990年代には、サウナが設置されたスーパー銭湯が増加し、サウナ人気が全国的に拡大しました。

第三次サウナブーム

近年では、社会現象にもなったテレビドラマ「サ道」の影響で、老若男女問わず多くの方がサウナに興味を持つようになりました。

サウナの起源

サウナは、2000年以上前から現代まで続くフィンランド発祥の文化です。

サウナは元々、厳しい寒さと日々の疲れを癒すために考案されました。

フィンランドには、人口510万人に対して160万カ所のサウナ施設があります。

また、ほとんどの家に家庭用のサウナがあり、フィンランド人の生活に深く根ざしています。

その証拠に、土曜日は「サウナの日」として、9割以上のフィンランド人が定期的にサウナに入るとも言われています。

2020年には、フィンランド式サウナがユネスコ無形文化遺産に登録されました。

それにより、サウナはフィンランドの歴史と文化の象徴として世界中に浸透しました。

サウナに入ると得られる3つのメリット

ベッドで寝ている女性

サウナに入ると得られるメリットは、以下の3つです。

  1. 脳疲労の軽減
  2. 睡眠の質の向上
  3. 免疫力が高まる

サウナは、心と身体の両方にいい影響を与えることがわかっています。

脳疲労の軽減|サウナのメリット①

のんびり過ごしたいのに、色々と考え事をしてしまい、逆に疲れを感じた経験はありませんか。

脳疲労には、以下の2つの脳回路が関係しています。

  • DMN(デフォルト・モード・ネットワーク):リラックス状態でいろんなことを考えているときに活性化する脳回路。脳の70〜80%のエネルギーが消費される。
  • CEN(セントラル・エグゼクティブ・ネットワーク):仕事を行っているときなど集中状態のときに活性化する脳回路。脳の5%しかエネルギーを消費しない。

つまり、集中しているときより、リラックスしていろんなことを考えているときのほうが、脳疲労は強くなります。

しかし、サウナに入れば、強制的に思考を停止できます。

サウナは、DMNの消費量を減らす効果があります

そのため、脳の疲労を防ぐことができます。

睡眠の質の向上|サウナのメリット②

サウナに入ると、睡眠の質が向上します。

2019年にオーストラリアで行われた研究(R)では、以下の結果が出ました。

  • サウナに入った80%の人が睡眠改善効果があった

サウナと睡眠の間には、DPG(Distal-Proximal Skin Temperature Gradient)が大きく関わっています。

DPGとは、体の中心部の深部体温と手足の先などの末梢体温の差です。

この深部体温と末梢体温の差が大きくなると、人は眠くなります。

サウナに入った際の深部体温と抹消体温の変化は、以下の通りです。

  1. サウナに入ると体の中心部が温まる
  2. サウナから出ると中心部の温度は少しずつ下がる
  3. 外気浴によって副交感神経が活性化し、末梢の血流が増加

サウナの一連の流れにより、末梢体温が上がり、中心部の体温は末梢に熱を奪われ徐々に下がります。

つまり、サウナに入ると、DPGが広がり睡眠のスイッチが入ります。

睡眠のスイッチが入ると、入眠までの時間が早まったり、睡眠の質が高まったりと睡眠の質が向上します。

免疫力が高まる|サウナのメリット③

1990年のオーストリアのウィーン大学の研究(R)で、サウナと免疫力の関係性が明らかになりました。

研究結果は、以下の通りです。

  • 週2回以上サウナに入る人は、(サウナに入らない人に比べて)風邪にかかる確率が約50%も低くなる

サウナに入ると、ヒートショックプロテイン(HSP)の細胞内濃度を高めます。

HSPは、ダメージを受けたタンパク質や免疫細胞を修復する役割を持つ物質です。

つまり、サウナで免疫細胞が修復された結果、免疫力が向上するのです。

ただし、この研究では、3ヶ月サウナを続けないと免疫力が高まらないとも言われています。

そのため、コンスタントにサウナに通って、風邪を引きにくい体になりましょう。

ハマる前に知りたいサウナの3つのデメリット

サウナに入ると生じる注意点は、以下3つです。

  1. 脱水症状・熱中症リスクが高まる
  2. 入りすぎると疲労の原因につながる
  3. 肌・髪へのダメージ

とはいえ、サウナの注意点には対策もあります。

しっかりとデメリットに向き合えば、楽しいサウナライフができるでしょう。

脱水症状・熱中症リスクが高まる|サウナのデメリット①

人間は暑さを感じると、体温を下げるために汗をかきます。

同時に、体内の水分量も減ります。

サウナは、日常生活で体験することのない高温の空間です。

普段以上に大量の汗をかき、脱水症状を引き起こす可能性もあります。

サウナに入って脱水症状になると、以下の症状が発生する可能性が高まります。

  • 頭痛
  • めまい
  • 倦怠感

サウナに1回入ると、体内の水分が300〜400ml消費されます。

脱水症状にならないためにも、こまめに水分補給をしましょう。

入りすぎると疲労の原因につながる|サウナのデメリット②

サウナに入るとさまざまなメリットを受けられるため、「サウナに入れば入るほど良い!」と思っていませんか。

もちろん、サウナに入ると血行が良くなるため、体の疲れが軽減されるメリットもあります。

しかし、長時間または1日のうちに高頻度でサウナに入ると、予想以上に体が疲れます。

サウナ→水風呂→休憩で1セットとカウントし、3セット行うのが一般的なサウナの入り方です。

3セットはあくまで目安のため、当日の体調に合わせてセット数や各分数を調整するのが重要です。

髪や肌へのダメージ|サウナのデメリット③

ドライヤーやヘアアイロンを使うと、高温の熱で髪が痛みます。

サウナも同じ原理で、髪や肌にダメージを与えます。

サウナが髪や肌に与える影響は、以下の通りです。

髪に与える影響髪の乾燥:毛先のパサつき、枝毛や切れ毛の原因になる
熱によるダメージ:髪のタンパク質が硬くなり、傷んでしまう可能性がある
サウナが肌に与える影響肌の乾燥:サウナに入ると、体内の水分量が減ると、肌が乾燥しやすくなる

髪を傷みから守るためには、サウナハットが効果的です。

また、浴室から上がったあと、すぐに髪にトリートメントをつけたり、体に保湿クリームを塗るのも効果的です。

サウナの「ととのう」とは?

引用:『マンガ サ道~マンガで読むサウナ道~』(タナカカツキ/講談社)session0「サウナトランス」より

“ととのう”とは、「サウナ→水風呂→休憩を何度か繰り返すと得られる心地良い状態」です。

ととのうは医学的にも解明されていて、そのメカニズムは以下の通りです。

  1. サウナ室の熱さと水風呂の冷たさを感じると「アドレナリン」が分泌される
  2. 水風呂のあとに休憩をすることで「副交感神経優位」の状態になる
  3. アドレナリンが残りつつ副交感神経優位になった稀有な状態になる(→ととのう)

注意点としては、初めてサウナに行くときに、ととのいを体験するのは難しいです。

ととのいは、何度かサウナに行った結果、ふとした瞬間に経験できることが多いからです。

一度サウナを経験してととのいを感じられなくても、何度かチャレンジして「ととのい」を体感してみてください。

サウナの種類

引用:なごみの湯公式HPより

サウナは単一の形式に限らず、様々なスタイルと特徴を持っています。

ここでは、以下の2種類のサウナを紹介します。

  1. ドライサウナ
  2. ミストサウナ

違いを知ると、自分に合ったサウナが見つけられます。

ドライサウナ

多くの方がイメージしている「熱くて、息苦しい」のが、ドライサウナです。

日本では、ドライサウナを導入している温浴施設・銭湯の方が多いです。

ドライサウナには、以下の特徴があります。

温度80~100℃
湿度低い

ドライサウナは、温度は高く、湿度は低いのが特徴です。

初めてドライサウナに挑戦する方は、ジリジリとした熱さを感じ、長く入るにつれて息苦しさを感じるかもしれません。

一番下の段であれば、熱さや息苦しさがある程度緩和されます。

「ドライサウナ苦手なんだよな」と悩む方でも、最下段で自分の入れる分数から始めると徐々に慣れてくるでしょう。

ミストサウナ

ミストサウナは、施設の温泉と同じぐらいの温度設定が多いです。

施設によっては、以下の名称で呼ばれることもあります。

  • 塩サウナ
  • 釜風呂

ミストサウナには、以下の特徴があります。

温度40〜60℃
湿度高い

ミストサウナは、温度は低く、湿度が高いのが特徴です。

ドライサウナと比較すると、温度設定が低いため、サウナをこれから始める方でも入りやすいです。

また、ミストサウナは湿度が高いため、髪や肌の乾燥や痛みが気になる方にもおすすめです。

ドライサウナと比較すると、導入している施設が少ないのがデメリットでもあります。

まとめ

小さなサウナ フィンランド 湖畔

サウナは、2000年以上前から現代まで続くフィンランドの文化です。

脳や身体の疲れを軽減するメリットがあるため、日常生活を送るなかで疲れを感じやすい方には、特におすすめの趣味です。

サウナには、メリットもある一方で、デメリットもあります。

デメリットは事前に理解しておくことで対策できるため、初めてサウナに行くときはこの記事を見返すと安心です。

これを機に、サウナをぜひ楽しんでみてください。

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